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2017年8月13日 (日)

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』


 労働食という意味ではホットドッグの方が歴史が古いのであろう。街角でも歩きながらでも食べられる。ハンバーガーをパンに挟んだ代物はナイフとフォークを使って食べる食べ物だった。それを紙に包んでそのまま食べるテイクアウト品として提供したのがマクドナルド兄弟である。テイクアウト方式はそれ以前にもあったようだが、いかに短い時間に廉価で商品を提供できるか考えに考え抜いて作り上げたそのスタイル… メニューを絞り、誰にでも作れるようにマニュアル化し、設備も効率を考えて配置等 …こそが、ハンバーガーチェーンに限らず世界中の全てのファストフードの原型となるものだった。時に1948年。
 マクドナルド兄弟に金銭的な野望が全くなかったわけではない。しかし、身の丈に合った経営が出来ればいいと考えていた。チェーン展開もあくまでも味を落とさないレベルで。しかし、既に矛盾が露呈している。彼らがやろうとしたことは否が応でも大規模展開されていく宿命にあった。彼らには出来なかった(そういう経営の才はなかった)が、彼らの代わりに実行する人間が現れただけなのだ。彼の名はレイモンド(レイ)・クロック。1954年に彼が初めて兄弟の店を訪れた時には彼は既に50歳を越えていた。苦労の末ミキサー販売業を軌道に乗せていた彼だったが、妻を家に残して各地を飛び回る生活をしていた。そんな彼は兄弟が作り上げた、まるでフォードのような発明を見て啓示を受けたのだ。「これは、いける」と。
 映画はマイケル・キートン演じるレイが兄弟を説得し家を担保にまで入れて、つまりリスクを背負って、布教でもするかのようにハンバーガーチェーンを全米各地に広めていく様を描いていく。そのためにレイは家庭を犠牲にもした(他に素敵な女性(人妻)と巡り合ったからでもあるのだが)。フランチャイズ形式ではなく土地店舗を貸し出す形式に切り替えたことで苦境を脱するが、それはマクドナルド兄弟との決定的な亀裂、対立を意味することであった…。
 「古き良きアメリカ」が「グローバリズムのアメリカ」に凌駕されていく悲喜劇。ファウンダー(創始者)という称号まで兄弟はレイに奪われるが、何も得なかったわけでもない。レイが現れなければ!というマック(弟)の怒りは分かるけれど、それでは果たしてマクドナルドの名は後世に残ったであろうか。
 映画ではそこまで描かれていないが、晩年までチェーンを維持拡大することに忙しく働き続けたレイには、幸か不幸か莫大な財産を使う暇がなかった。せいぜいメジャーリーグのチームを1つ買ったぐらいである(これ、皮肉じゃないからね)。その遺産は(映画でも触れられていたように)後妻さんによって慈善活動に使われて、今に至るマクドナルドの社会奉仕活動にと繋がることになる。
 マイケル・キートンは迷いながらも躊躇わないそんな主人公をふてぶてしく、時に繊細に活き活きと演じている。

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